北畠遼 | RYO KITABATAKE
グローバルな発信力をもつヴィジュアルデザインスタジオ「WOW」に所属する27歳のヴィジュアルデザイナー。新卒で入社した映像制作会社を飛び出し、アメリカへ留学。帰国後、飛び込みでWOWに応募した彼は、その優れた英語力と質の高い学びの場で鍛えられた感性を発揮し、いまやオスカーなど、世界一流のクライアントからも指名で仕事を受けている。

WOW所属、27歳のヴィジュアルデザイナー、北畠遼にアカデミー賞の映画芸術科学アカデミーから新規ブランドイメージを訴求するための映像制作の依頼がきた。だがこの会社にとって、実はそれはあまり珍しいことではない。北畠も、「WOWという名前のもつブランドの効果もあるけれど、個々人のブランドも非常に立っている会社だ」という。なぜ世界中の企業は彼らにお願いしたくなるのか? WOWのデザイナーには、どのような「力」が備わっているのか? 3名の若手ヴィジュアルデザイナーと彼らをマネージメントするプロデューサーに話を聞き、その秘密を探る。

1. “桁違い”の企画力

「WOWのデザイナーには、他社とは桁違いの企画力がある」とプロデューサーの萩原豪は述べる。「企画からアウトプットまで、すべてを実現できるのが、うちの強みです」。デザイナーも企画段階から会議に参加してアイデアを提案する。そうすることで、訴求するものに対して多角的に俯瞰し、表現手段を組み立てていくことができるという。

プロデューサー・ディレクター・デザイナーといった役割もこの会社では曖昧で、ほかの多くの映像制作会社のようなはっきりとした“分業”の形式にはなっていない。自分がやりたいと思ったら、手を挙げて企画すれば、誰もがプロジェクトリーダーになれるチャンスがあるという。さらに、「クライアントと一緒につくっている感覚が強い」と萩原は述べる。「言われた通りにやるのではなく、要望に呼応して、『もっとこうしたらどうでしょうか?』と、きちんとこちらからも提案しながら制作を進めています」。そうすることでデザイナーとしても表現の幅が広がるのだという。

とはいえ、彼らは決して、自分の個性を押し付けることのないように気をつけているという。「自分がやる意義みたいなものをきちんと付加していきたいという思いはありますが、それは自分の個性を押し売りしたいわけではないんです」と、北畠は言う。「クライアントにも自らの思いがあって、それを具現化する方法を求めている。だからこそ、そのなかで回答のひとつとして自分の個性をうまく生かせれば、といつも考えていますね」。

2. 極限までこだわり抜く力

CG、ミュージックヴィデオ、コーポレートアイデンティティ、アプリ制作、プロジェクションマッピング、ライヴ演出など、WOWが可能にする表現は実に多岐にわたる。

だがそれがどのようなものであっても、一つひとつのプロジェクトに相当なエネルギーが注がれ、極限までこだわり抜いて制作されている。「求められている仕事の質がとにかく高いんです。文字通り、知恵を絞り出さないとその高さにはなかなか到達できません。だから毎回すごい大変なんですけど、その分、自分にとって大きな糧にはなっていると思います」。幅広い領域の仕事を自由にやらせてもらえることも魅力的だと北畠は言う。「少しでも自分の表現を持っているのであれば、『じゃあやってみようか』と、チャレンジをさせてくれる会社なんです」。

長塚創 | HAJIME NAGATSUKA
映像制作に目覚めて、高校を中退。福岡で映像を学んだのちにWOWに入社した長塚は、主にCG制作を担当している。時流に流されることなく、いつ見返しても美しい、「普遍的な表現」を目指していつも制作しているという。

空間インスタレーションやユーザーインターフェイスデザイン、アプリケーションデザインなど、表現のフィールドが広がり続けるなか、本来WOWが得意とする3DCG表現に立ち返り、その表現力の豊かさや強さを再認識するために制作されたオリジナル作品。

大賀頌太 | SHOTA OGA
多摩美術大学でプロダクトデザインを学び、卒業後、約1年間のフリーランスを経て、昨年3月に入社した、25歳のヴィジュアルデザイナー。フリーランスのころから、クライアントやプロデューサーから指示された通りのものを作るのではなく、どこかに必ず自分にしかできない表現を入れ込むことを心がけているという。

3. アップデートし続ける表現力

大賀は、誰よりも朝早くに出社して、ネット上のアーカイヴを巡回し、常に新しい表現を模索しているという。

「最近CG業界では”ローポリ”(ローポリゴン、ポリゴン数の少ない表現)が流行っているんですけど、80年代初期の映画『トロン』を観ると、いま流行っているローポリの山の表現と結構似ていたりするんですよ。むかしの表現がひと回りして、いま再び注目されているわけです。そういった潮流を日々のネットサーフィンのなかで気づいて、次の作品の表現にそれをどう生かそうかと考えています」

だが、彼らは最新技術を追っかけ続けているわけではない。CG制作を主に担当する長塚創は、「クラシックになり得そうな、普遍的な良さを持つものをつくりたい」といつも考えているという。「流行りを知っておくのも重要だと思うんですけど、いつ見ても良いと思えるものをつくりたいんです」。

「衝撃を受けた」、「もっと使ってみたい」、「業務用に是非導入したい」と、今回評価した「HP Z820 Workstation」は彼らに大好評だった。

彼らは、基本的にはすべてパソコンのCGソフトで作品をつくるわけだが、いまのスペックだと限界があるという。「パソコンを買い換えたいとは常に思っています。こうした表現をやってみたいけれど、いまのパソコンのスペックだと無理だと思うことは多いですね」(大賀)。

「4K」はその限界のひとつだ。「制作する現場としては、4Kという言葉はあまり聞きたくない」と彼らは口を揃える。制作側としては、デメリットの方が多いからだ。「データが重くなるので、編集作業も重くなってしまいます。レンダリングするのもフルHDの倍以上はかかるし、読み込みとかも全部遅くなってしまうんです」。特に「トライ・アンド・エラー」ができる回数が減ることが、デザイナーとしては致命的だという。

今回、HPが特別に用意した最速の「HP Z820 Workstation」を評価したところ、彼らはその性能に衝撃を受けたという。「これはかなり欲しいです! これなら4Kもストレスなくやれますね。いま使用しているZ800のリプレイスとして是非導入を検討したいです」。彼らが特に注目したのは、合計2TBのSSDが搭載されていることだ。「SSDだと、読み込みの速度が速くなるので、作業効率は上がっていくことは確かです。しかもそれが2TBもあれば、容量もほとんど気にせず使えるので、4Kの大きな素材でも扱いに困ることはないと思います」。

モデル HP Z820 Workstation
プロセッサー インテル®Xeon® プロセッサー E5-2697v2 (12コア 2.7GHz) デュアルCPU構成(24コア 48スレッド)
メモリ 48GB
ディスク インテル® 730 SSD 480GB x 5台構成
グラフィック NVIDIA Quadro K6000

※インテル製のSSD 730はHP純正品としての取り扱いはありません。

WOW