冥王星からまたサプライズ。
太陽系のはるか辺境にある冥王星からは、近ごろ驚きの発見が続いています。氷の火山や青い空、そして窒素にあふれた平原などいろいろな現象が見つかっていますが、今回さらに地面の下に水の海があるかもしれないことがわかってきました。
去年冥王星についてわかったことでもっとも驚きだったのは、その氷の表面全体に地殻運動の証拠がみられるということでした。太陽から遠く離れた星としては考えにくいため、天文学者たちもその説明に苦慮していました。
が、今週「Geophysical Research Letters」で発表された論文では、冥王星の地殻運動をシンプルかつ魅力的に説明しています。その論文によると、地面の下の海が、部分的に凍結していると考えられるのです。
「我々のモデルは、最近冥王星で確認された地殻活動は氷の相変化によるものだという可能性を示しています。つまり潮流や未知の物質、珍しいプロセスによるものではないということです」論文集著者のNoah Hammondさんは発表文書で語っています。
冥王星に液体の水の海があるという説は、実は新しくはありません。冥王星の表面は揮発性の高い氷の層でできていて、そこには窒素やメタン、二酸化炭素が含まれていることがわかっています。また、この氷の下にはもっと厚い水ベースのマントルがあり、それが岩石中心の核まで続いているらしいという説も広く受け入れられています。そのマントルのほとんどは凍っていると思われますが、熱い核に近い層には、液体の部分があるかもしれないんです。
この新たな研究のポイントは、地表の裂け目に、液体の水の証拠を発見したことです。もし内部の水の層が高密度の「氷 II」という状態になっているとすれば、氷が圧縮された痕跡が地表にも見られるはずですが、それがありません。これは、冥王星全体が固体ではないことを示しています。
「もし氷 IIができていれば、冥王星では容積縮小がおこり、表面には地殻圧縮の特徴が見られるでしょう」とHammondさんは説明しています。「冥王星表面の地殻にはすべて伸展性が見られ、はっきりした圧縮性は見られないことから、氷 IIは形成されていないことが示されます。よって冥王星の地表下の海は、いまも存在する可能性が高いのです。」
Hammondさんのモデルが正しいとすれば、カイパーベルトにある小さな凍った星のあちこちに、地表下の海が存在している可能性があります。だからってそれらの海に生命体が存在しうるかどうかはわかりませんが、これだから宇宙探査はやめられないんですよね。
image by NASA/New Horizons
source: arXiv
Maddie Stone - Gizmodo US[原文]
(miho)