MF澤穂希(36=INAC神戸)が、なでしこジャパンの「背番号10」に、360日ぶりに袖を通した。香川合宿3日目が20日、丸亀市内で行われ、晴天の下で記念撮影。そのまま午前練習で着用し、ピッチで躍動した。昨年5月の女子アジア杯(ベトナム)決勝以来だが、女子W杯カナダ大会(6月6日開幕)用の新ユニホームの初披露でもあり、ピンクの文字もお気に入りの様子だった。

 10番を背負い、澤の表情は自然と笑顔になった。「試合ではなかったのですが、日本代表の10番はやっぱり特別なもの。試合前に着ると、感慨深いものが出てくると思う」。24日の親善試合、ニュージーランド戦(丸亀)を心待ちにした。

 記念撮影では最後列の一番右。澤の定位置に立った。隣のDF熊谷や、目の前のMF永里とじゃれ合いながら、うれしそうな表情。今回のW杯から胸と背中の番号がピンク色に変更され「最初の印象は短パンの方が白で変わっていなかったので何でかな? っていう感じ。でも、なでしこらしいピンクはかわいらしくていい」。新ユニホームにもお気に入りだ。妹分のFW大野は「何も意識しなかった。それくらい澤さんの10番は普通のこと。試合で一緒にピッチに立った時に久しぶりなことを意識してみたい」と笑った。

 10番を身にまとえば、自然と体も動く。両サイドのクロスからのシュート練習ではゴールを量産した。宮間のクロスをヘディングし「痛~い」と頭を抱えた場面も、楽しさに満ちあふれていた。それほど10番は活力になる。練習着に着替えた午後練習でも、スピード、フィジカルに勝る男子高校生と互角に渡り合った。佐々木監督も「疲れは感じさせないね。以前のベテランだからいいでしょみたいなものはない。常にチャレンジしている」と評価した。

 注目度は高まるばかり。ニュージーランド戦や、W杯カナダ大会の日本戦を全試合放送するフジテレビでは「澤カメラ」を準備。何台もあるカメラの1つは澤を密着マーク。どのように放送するかは計画中だが、W杯決勝まで追い続ける。連覇へ向け、背番号10の存在感がますます際立ってきた。【鎌田直秀】