大腸がんの「幹細胞」殺す物質作製 国立がんセンターなど
国立がん研究センターや理化学研究所などは26日、大腸がんのもとになる「幹細胞」だけを殺す新しい化学物質を作ったと発表した。がん幹細胞ができるのに必要な情報伝達を邪魔する働きがあり、マウスを使った実験で効果を確かめた。抗がん剤が効かなくなった大腸がんの新しい治療薬になる可能性がある。
大腸がん幹細胞は従来の抗がん剤が効かず、再発や転移の原因となっている。研究グループは、がん幹細胞の情報伝達経路を遮断する「NCB-0846」と呼ぶ新しい化合物を作った。経路を遮断されると、がん幹細胞は死ぬ。
人間の大腸がんを移植したマウスに、この物質を注射したところ、がん幹細胞がほぼ消えた。動物実験をさらに進め、1~2年後の臨床試験実施を目指す。
国内で大腸がんで死ぬ人は年間約5万人。転移がなければ手術で治るが、転移して再発した場合、抗がん剤を併用して治療を続けるうちに抗がん剤が効かなくなる。このため、転移がある大腸がん患者の5年生存率は約15%にとどまっている。